「青春のアフター」精読

 さて、青春のアフターですが、ラストシーンの意味がよくわかりませんで、わからないとこれは十全にさくらがかわいいとは思えない。それでは困るということで、ちっとばかり精読してみることにしました。ほんとは面倒なんで嫌いなんですけどね精読……。まあ、やらないとわかんないもんはしょうがないです。

 とうぜんながら、くそガッツリとネタバレです。

 あ、その前に。俺にこの爆発物をぶつけやがった方がちょうど俺が精読してるあいだにだらだらポストしてるタイムラインに居合わせまして、その方と解釈合戦やってました。ちょっと二人がかりでやってたような感じがあって、どっちがどう読んだのかわかんなくなってきたので、ここに貼っておきます。

tgbyhnujm.hatenablog.com

 

 あそうだ、リンク先の人も追記するかもしんないです。

 んじゃ本文。

 まず初読の時点で「さくら=梅子」に気づいてなかったのにびっくりした。精読しなきゃわかんないようなレベルじゃないっすよこれ。

 ちょっとわかんないこと多いので、精読とまでは行かないと思いますけど。考えながら書いてるので、読む人混乱すると思います。

 まずタイムスリップの機序に関して、これ見た目のとうとつさと違って、相当に綿密に設定してあると思うんですよね。さくらが途中で自発的にタイムスリップできるようになった、というのはたぶんそれしか考えようがないと思います。ただそのあとも本人は無自覚なんで、完全に自発的と言いきれるかどうかはわからない。俺はその「自発的」の契機を作中で発見できなかったので、完全にスルーしてました。

 でもまあ、それだとうまく説明できる部分が多いので、とりあえずこれはそうなんだと思います。

 少なくとも1巻の段階で「酒が絡むとタイムスリップしやすい」ってのは明示されてるわけで、またその段階でタイムスリップの機序そのものが最後の大ネタになることを見通せていなかったはずはないので、考えてあるはずです。

 ただわかんないのは、梅子の時間軸なんですよね。根拠なく直感だけでいうなら、修学旅行とやらに行ってる4巻のほうが先だとしか思えないんですよ。なにしろ、そのときのさくらとほとんど見分けがつかないわけで。

 ちょっともう本体読み直すのめんどくさいので、印象だけでざっと書いちゃいますけど、さくらの時間軸としては、旅行に行った時点で「タイムスリップの機序について考えるように」というトリガーは与えられている。そんで、これはちょっと反則かなと思うんですが、柱のおまけ的なマンガで「タバコがタイムスリップを抑制する」という情報を与えられている。

 その後、梅子が主人公を車の前に蹴り出してときのタイムスリップでは16年後に吹っ飛んでるんですけど、あれってどうなんだろう。あれが故意だとすると、みい子に対して16年間待たせるという意味合いが入ってるんだけど、たぶんそれはないだろうなあ。少なくともさくらの主観ではまだ時間は連続してるわけで、そういう発想が出てくるとは思えない。

 でまあ、あれは偶然としても、そこからラストまでは必然ですよね。ラストで「桜じゃないんだよなあ」という時点では、自分が梅子であることにさくらはとうぜん気づいてるでしょうし。だとしたら、そこが梅子の起点なわけです。そんで、そのあとに、主人公がいちばんきついだろうと思われる大学時代に姿をあらわす、というのはまあありそうな話で。

 ここたぶん、さくらが「日記を読んでいた」っていう事実が関係してくるんですよね。あの桜の木の下で、かどうかはわかりませんけど「そっか、そういうことだったんだ」みたいな納得がさくらにあって、じゃあ出現すべきタイミングは日記に書いてあったあの時期なのだろうと。さくらとして出現する選択もあったのは確かなんですけど、この時点ではもうさくらは「まことがみい子を選ぶということ」を知ってしまっているので、あとはもう復讐の物語にしかならないんですよね。ここでは「なんでセックスを見せつけたのか」という疑問がちょっと残るんですけど、これはおそらく読み直せばわかるんじゃないかなと思います。もう疲れたんでやらないですが。単純にいうと復讐ってことだとは思うんですけど。

 そんで、そこから梅子の時間軸は4巻時点に行くわけなんですが、ここはもうわかりきってますね。さくら=梅子内部での決着をつけるため。だからこそ拒絶される必要があったし、車の前に蹴り出すのも、少なくともそうすれば梅子の時間軸では、そこから先にはもう主人公は存在しない。

 ということですね。

 この見解はちょっと自信なさげに言うんですけども、おそらく4巻ラストのエピソードの時点で、16年待ったみい子にさくらは敗北してるんですよ。敗北って言いかたが適当かどうかはわかりませんが。単純に考えれば失踪した直後に戻ってやり直しゃいいじゃんって話なんですけど、そうできるだけの理屈がさくらのなかにはもうなかった。このへんで「16年」以上ですか。その歳月を高校生の女の子に押し込めてしまったことの歪みがめっちゃ表現されてると思うんですよ。どだい無理な話なんですから。

 と同時に、これ読み直してる途中にずーっと「復讐」ってワードが頭の片隅にこびりついてて、これなにかなーと思ったんですけど、これって前回の日記で書いたとおり、やっぱり大づかみにとられると「後悔と妄執の物語」なんです。物語中ではさくらとセックスすることによって妄執の一部は解放されてますけども、結局のところ妄執はなくならない。さくら=梅子があんな結末を迎えてしまったのは、遠回りな復讐なんじゃないかとも思えます。まあ復讐で悪ければ鎮魂歌か。

 前の日記で俺は「渦中にある」「後から」っていう考えを書いたんですけども、それでいうと、これって「終わった直後の物語」なんじゃないかと思うんですよね。整頓できてないなあと思う部分はそんなあたりかなあと。

 ただこの作者、明確に構成マニアなんですよね。俺が思いついたんじゃないのでここには書きませんけど、作中のエピソードや小道具すべてに「意味がない」ものがひとつもない。セリフもです。いまそれに気づいたリンク先の人が「変態だ」って言ってますけど、まあ変態ですね。

 以上。この作品については、また再読したときになんか書くかもしんないです。