しろと(中略)その6

 姫花ルート終了しました。

 うーん……作り手の人も目に入れてしまうかもしれない場所だから、あんまり否定的な感想は書きたくないんだけど……そのへん変に気をつかうと自分の言いたいことも言えなくなってしまうので、素直に感想書くか。

 正直に申し上げて、後半の蛇姫様がらみのエピソード、ほとんど意味なかったと思う。というのは、これ別に主人公と姫花の物語じゃないから。

 けっこう難しいところはあったと思うんですよね。少なくとも、主人公と姫花が幼なじみから恋人になるにあたっての問題って、途中で全部解決しちゃってたから。まあこのルート読んでて相当に早い段階で「しろのことどうやってカタをつけるんだろ」ってのは思ってて、でまあ、やっぱり早い段階から「二人の子供として生まれ変わってくるしかないな」とは思ってたんですよ。ということは、しろへの愛着と姫花の嫉妬くらいしか話の持ってきようがないんだけど、そこは姫花が「そういうのはしちゃいけない」と決心してるところで、もうルートが詰んでる。そこをあえてってのも考えたんですけど、このゲームたぶんそういうテーマじゃないですからね。

 そんでまー、蛇姫様ってのが出てきた時点で「あーこれは明後日に行くな」と。まあそういう感じでそれ以降は流し読みになりました。

 実はこのルートを読む前に、このゲームの感想をざっと流し読んでみたんですけど、姫花ルート、おしなべて評判悪くて、それでその評判の悪さってものには思い当たるところがあったんですよね。というのも姫花、けっこううざい。あー、うざいって表現はちょっと違うかな。

 姫花って基本的に賢くていい子なんですよ。ただその賢さとかいい子の感じって、エロゲのユーザー層が思い描くものとはだいぶ違ってて、現実寄りの感じかなと思ったんですね。前のほうの感想で「華のない幼なじみ」なんて書きかたしてたんですけど、それを補って余りあるくらいに造形がしっかりしてる。主人公の前でずっとものわかりがよくてやさしい幼なじみやってたのは「そう決心したから」で、これわかる。

 で、カップル成立してからあとの浮かれっぷりもすごくよくわかる。抑えつけてたものが一気に噴き出しちゃった感じですよね。まあもうちょい邪推を繰り広げれば、おそらく「ゆっくんと恋人どうしになったらあんなこともしようこんなこともしよう」みたいな妄想はそれはもう無限にやってたはずで。そのへんはたぶん設定に入ってるんじゃないかと思います。「自分でしてたときよりも気持ちいい」っていう描写が入ってるのは、まあしろとアウロラにないのは当然としても、意味のないことじゃないと思う。

 あの積極的なベタつきかたもそうですよね。片想いでありながらあれだけ自分を封じていられたのって、要は「幼なじみ」というところに自分を定義していたからで、そうすると、その定義から外れるところは「全部」封じなきゃいけなくなる。我慢するってのはそういうことなんで。だから恋人どうしに晴れてなれたときに「私も女の子でいいんだ」っていうのが新鮮な感動としてあったはずで、まあぶっちゃけていえば欲求不満がいっぺんに外に出た状態ですわ。

 ただこれ、なんだろ、通学路での当ててんのよ的なエピソードなんかが特徴的なんですけど、あのシーンから見えるのは、主人公の側の戸惑いとか欲情じゃなくて「ゆっくんに愛されてる、求められてる自分」を表現してる姫花のほうなんですな。教室でいちゃついてるときもなんかもそうで、姫花ってどうかすると、周囲から「うざい」って言われても「そうかな? よくわかんない」って天然の「ふり」をするくらいの芸当できるはずなんですよ。おそらく教室にいても「ゆっくんは私のものだってみんなに教えてる」くらいの意識は無自覚ながらもあったはず。

 というところまで含めて、俺から見ると「めっちゃよくできてる」って感じがあったんですけど、これ男の側から見たらたまったもんじゃねーわって側面あるんですよね。だって描写されてるのは姫花の自意識のほうですんで。そりゃまー男からすりゃいらんものですわな。

 で、話を戻して、そのへんが評判悪いのかなーと思ってたんですよ。でも違ったなあ……。ストーリー構成そのものが問題だったとは。

 考えてみれば、アウロラのルートもラストはかなり微妙でした。あのオチはないと思う。主人公がおとぎの国で暮らすっていうラスト、あれだれがいちばん幸福かっていえば、アウロラじゃないですか。アウロラにしてみればあれがベストですよ。そしてアウロラは(精神年齢の問題もありそうですけど)、あの主人公の選択に対してなにも気に病んだふうがない。あのへんで微妙な感じはあった。

 俺はもともとえろげにはえろしーんあってもなくてもわりとどうでもいいという考えの人なんですが、姫花ルートに関しては、がっつりとねっとりとえろしーん入れるべきだなあと思いました。あそこまで姫花っていうキャラをがっちり組み上げて、かつ姫花のほうで「主人公を欲する」っていう条件が揃っている以上、相当にえろくできたと思うし、その落差ってものはプレーヤーにアピールする性質のものだと思ったんですよ。姫花自身がそういう自分にとまどうっていう点でかわいさも描写できたと思うし。

 だからこう、なんつーか、非常にもったいなかったなあと思いました。幼なじみルートとして、蛇姫様のエピソードまでは比類なくよくできてたなーと思うだけに。

 でもまー、あれですよね。しろの存在が二人の子供の比喩であり、ガチで子供になっちゃうあたりとか、根本的には「姫花の欲望をかなえるため」のシナリオである点とか、全体を通じて「男性向けではない」という感じがいちばん強かったルートだと思います。

 なお俺は、このような描写が大好きであるもようです。蛇姫様がらみにエピソードはさておき、姫花の自意識を主成分として、めっちゃ堪能させていただきました。こうふんした。