怖い人

 ついでに思い出したことがあったので更新しとく。

 俺の基本的な生存戦略は「バカのふりをする」ということである。俺自身では自分のことはさほどバカではないと思っているが、この前提が崩れていたとしたら、以下のすべての文章は意味がなくなる。

 バカのふりは非常に便利である。ただしこれができるには条件がある。まず外見からしてバカっぽいことである。俺はこの点で満点である。ぼーっとしててなに考えてるかわからないらしいし、どうかすると鼻くそほじってよだれ垂らしてるような風情がある。バカにしか見えない。

 次に自分がプライドを持っていること以外はなにもかもどうでもいいことである。なにもかもどうでもいいので、相手がマウンティングとやらをしてきても「すごぉい」と口をぼーっと開けて言っていられる。心の底からどうでもいいからである。

 この前提を実現したうえで、バカのふりが有効なのは、たぶん俺が自営業だからである。数字だけ出してればだれに文句いわれないし、どんなやりかたをしようと自由である。まあその場合、結果を出したことは「運がいい」でかたづけられて俺はまったく評価されないだろうが、まあそんなことはどうでもよい。結果さえ出せば金が手に入って俺はエロゲを月に3本とか買えるようになる。やる時間がない。死にます。

 さらにバカのふりで助かるのは「相手が油断しているので、よく文脈を読んで、ここだという点で切りつけていけば有効打になりうる」ということである。自営業なので俺はトップなのだが、さすがに交渉ごとなしというわけにはいかない。そういうときにはなんとか勝利を手にする必要があるわけだが、バカからの意外な一撃というのはあんがい効果がある。

 ちなみにバカのふりをするコツというのがいくつかある。ひとつは「難しい単語が出てきたら聞き返す」ということである。特に経済用語とか最近流行の横文字なんかがよろしい。これを質問するとてきめんに相手の自分に対する評価が数段下がる。

 次に「ユーモアがわかりません」という側面を前面に出していくことである。笑いどころがわからないという感じだ。笑うべきところで真顔でいて、笑うべきでないところで笑っていれば「こいつは話が通じないな」と思わせることができる。

 最後に、話が文脈に沿ってスキップしはじめたら、頻繁に話を止めることである。これで護身完成だ。

 なんでこんなことしてるかっていうと、話が通じるとか思われたら人間関係とか発生するかもしれないし、めんどくさいからである。

 逆にいうと、この条件を裏返せば「頭がいいと思われる人」の判断方法になるというわけである。

 

 しかし世のなかにはかならず「本物」というやつがいる。俺の環境下では滅多に見かけない。しかしやつらは確実に存在する。こっちがどんなふるまいを見せようが、まっすぐに本質に切り込んできて、自分の土俵に引きずりあげてしまうタイプだ。これは心底めんどうである。

 俺はその人のもつ力みたいなのを以下のように分析している。要素は「知性」「情熱」「体力」である。

 知性とはいうまでもなく思考する能力だ。そして知識をも含める。知性のある人はたいてい知識もある。もちろんその逆もあるのだが、その場合は、この指標のポイントが下がるだけである。

 情熱とは、目標に向かって進んでいく力みたいなもんである。野心みたいなのも含めていい。自分の欲望に正直である、ともいえるかもしれない。

 体力は、まんまである。気力もここに入る。気力ってのはたいてい体力の下位概念である。気力だけ充実してる人は遅かれ早かれ死ぬのでなんとかしたほうがいいです。

 で、これらの要素をかけ合わせたものが、その人間が持つ力である。これらの総合力が高い人間に対しては、よけいなことやるだけ無駄であり、最初からガチ勝負である。利害が絡まなければこういうタイプのことは決して嫌いではないのだが、そうそう利害無関係にこういう人間が出現することはない。なので、たいていの場合、俺はできるだけ逃げる。怖いし、こういうの。

 

 トータルでまとめると、俺はたいてい人間からは逃げる。めんどくさいからである。俺の最優先は、脳内の自分のこども王国を守ることである。ほかのことはすべて片手間で処理したいのである。そのために頭を使うのである。