ノゲノラ

 最近はKindle端末のなかで死蔵した本を崩そうキャンペーンであり、ことに発売の間隔が長いため、最新刊買うだけ買って放置してあった作品の最新刊まで追いつこうということで、読み直しキャンペーンをやっております。いまのところ、ノゲノラと本好き、あとナイツマと幼女戦記なんかがそれにあたっております。

 というわけで、まずは「ノーゲーム・ノーライフ」を1巻から読み直してたんですけども、そういやアニメもえらいおもしろかったんだよなーということを思い出しまして、そんでまあ、どうせ読むなら白の声はインストールしといたほうがあとあと楽しいよなあと思ってアニメをまとめて見た次第です。

 あらためて見て思ったんですけど、これほんとによいアニメ化ですね。原作の持つハッタリ感、別のやりかたで最強を貫く感じ、それとどこまでシリアスになっても「これはゲームだ」という遊びの感じを失わないようなところ。アニメではずいぶんと改変してるところがありますけども、そのへんの雰囲気をうまく表現できてると思います。

 俺がこの作品を好きな理由っていろいろあるんですけども、ひとつにはこの作品の作者が、おそらく俺からいちばん遠い場所にある頭のつくりしてるんじゃないかなと思えるところです。前から俺が好む理屈なんですけど、たとえば俺が村上春樹になろうと思ったらなれるんですよ。300年くらいの寿命があって、倦まず弛まずああいう作品を作ろうと努力しつづければ。世にいろんな能力を持った人間はいるわけなんですが、実は「寿命が300年あれば」という前提であれば、到達できる才能ってけっこうあると思うんですよね。

 ところが、この作品の作者は無理です。頭の構造からして違うので。

 俺は若いころ無駄になわとびが得意で、三重飛びを20回近くできたんですね。なので、死ぬほど体を鍛えてなわとびにだけ人生をぶちこむ気があれば、たぶん五重飛びとかも不可能ではなかったかもしれない。でも、なわとびを使って鳩を捕まえるような人は、もうまったく理解できないわけです。なにどうやったらそうなるのか想像もつかないので。

 同じ文章というツールを使っていながら、こんな作品を作れる人間というのはそれくらい理解できないものがあります。だからこそ圧倒的に先が読めない。おもしろい。

 そういうわけなので、俺はこの作品に関して「おもしろい」以外のまともな感想がいえません。

 

 しかし白はやばいですね……。これはもう空白という兄妹そのものがやばいわけなんですが。エンタメの土俵で「兄妹」といった場合、これはもう閉じた関係になってしまうのが避けられない部分があるんですけど、こういう突破口があったんだと。これもう完成形のひとつだと思います。ちょっとこの兄妹見ちゃったら、もうこれ以上のものってつくりようがないんじゃないかなと思うくらい。共依存をうまく避けて云々とか考えるのがアホらしくなるくらいですわ。色素薄くて口数少ない系の妹さんが好きな方は見て損はない作品だと思います。

 ほかのキャラもいいです。これでもかってくらいアクが強い。白っていう正ヒロインが完全に定まってまして、でもいちおう「兄妹である」というエクスキューズは存在してるので、ハーレム構造にしたところでなんら歪まない頑丈っぷりです。

 あと、白のお風呂嫌いの設定が地味に俺に刺さります。どうも見てる感じ1週間に一度くらいしかお風呂入らないんじゃないかなーと思うわけなんですが、となると、お風呂入る直前の白とか、けっこういいにおいするんじゃないかなあと。いづなたんもお風呂嫌いですので、アニメで見たいづなと白の入浴シーンは、ちっさいこがわきわきしてて映像として尊いうえに、一週間分のいいものがいまお湯に溶けて流れていってるんだなあと思うとすごくこうふんします。

 

 原作はいま3巻に入ったとこかな。最新刊が何巻まで出てるかは覚えてないですが、一気に読んでしまおうと思ってます。おもしろい小説がたくさんあることは幸福以外のなにものでもありません。この読み手としての圧倒的な幸福感がなー、それで完全に満ち足りてしまうあたりが、俺が書き手にまわらなかった大きな理由だとはわかってるんですが、でもなー、おもしろいものはどうしようもないもんなー。