新しいかたちのコンビニ

 コンビニにおけるアマゾンの受取って激増する一方なんですけど、この状況を見て前から思ってたことがあるんですよね。

 俺は現在、ちょっと地獄のように忙しくて、生鮮品以外はほとんどアマゾン頼りの状態なんですけども、俺の場合は職場で確実に受け取れるからまあいいんですけど、そうじゃない人って自宅配送は厳しいわけじゃないですか。それもあっての店舗受取ってことだと思うんですが、まあ潜在的には「自分で買いに行かずに通販で済ませたい」という欲望は強い。はず。なんによらずですけど、あらゆるサービスって手間を減らす方向に動いてるのが現状で、移動距離とか時間とか、すべて圧縮の方向に向かってるわけで、その究極が「自宅から出なくても生活できる」ということだと思うんです。それで引きこもるということじゃなくて、移動とかの時間のロスを極限まで減らして、あとは自分の生活のための時間にするっていうことですよね。

 そもそもあれなんですよ。人間の生活には無駄が多すぎる。いま洗濯してて思ったんですけど、考えてみるとこんなアホな行為もないですよ。個人で服買って、洗濯して繰り返し使うわけじゃないですか。その一方で、Tシャツなんて、ある程度の質のものであれば、西友行けば1枚300円とか400円のものが売ってる。ファッション的にはともかく機能的にはそれで充分で、洗濯するコストってことで考えると、もはや使い捨て、は言い過ぎでも、数回着て新品に交換したほうがコスト低いんじゃないかと思う。

 人が自分の洗濯物をすべてクリーニング屋に委託するようになれば、クリーニングって一大産業になってコスト下がるはずです。だったら衣類なんか配給制にして、クリーニング屋に汚れものを出して、かわりにそこで洗濯済みのものを受け取るほうが社会全体としての効率は激しく上がるはずです。

 ……というのはまあ、ファッションってものにまったく興味がない人間の戯言なんですけども、なんでも集約化すれば効率が上がるってのはまちがいない。

 通販中心の生活ってのを考えたときに、効率化の最大の障壁になってるのって、まちがいなく自宅配送だと思うんです。いわゆるラストワイマイルですよね。これが不要であるとなれば効率は劇的に上がるはずです。

 そこで思ったんですけど、たとえばアマゾンみたいな会社が直営店を作るとして、その店舗での受取であれば配送料は無料、自宅への配送であれば規定の配送料がかかるっていうふうにすればどうかなーと思って。んで、店舗には生鮮品、ないしすぐに食えるものだけを置いておく。

 こうすることのメリットはいくつかあります。

 ひとつは、個別配送がなくなることによるリードタイムの圧縮ですね。これはかなり圧縮できるんじゃないかと思います。現状でもお急ぎ便なんかは頭おかしいんじゃないかと思う速さで届きますけど、自宅配送抜きにすりゃそこはもっと短くなる。ルート配送ってのは、やっぱ次元が違う効率なんですよ。

 次に、品揃えの大半をアマゾンならアマゾンっていう通販の業者に頼ることができるわけなので、店舗での品揃えは少なくて済みます。コンビニとかあのへんの店舗の人的運営コストのかなりの部分は陳列なので、ここが半減すれば人件費を削れます。おそらく常温の食品なんかは一掃できるんじゃないかと。

 そんな店舗で一般のコンビニに太刀打ちできるかどうか問題ですけど、ここはアマゾン直営店舗のみ配送料無料とすることで圧倒的な差別化が図れます。ある程度のリードタイムはあれど、徒歩圏内に無双の品揃えを誇る店舗が鎮座してるのと同じ状況ですから。

 コンビニは、現状でも昔よりはかなり省力化が進みまして、同じ売上でも少ない人件費で運営することは可能になってますけど、それでも限界はあるんですよね。おそらく次に実現するのはレジの完全無人化だと思うんですが、それが実現しちゃったら、もうできることないです。なにより陳列の機械化が無理。現状で存在してる技術で考えるなら、たぶん夢物語です。なにか陳列に関して革命的なパラダイムシフトでもあれば話は別でしょうが、しょせん「人間が買う」という肉体的な制約がありますんで、一定以上の革命ってそこには起きないはずなんですよね。店舗面積が広大なら話は別でしょうが、そうすると今度は人間の足が疲れますし。

 人間の数はゆるやかに減少していきますけど、劇的ってほどには減少はしていかない。一方で働き手の数ってのは、こっちはわりと劇的に減少していくことが予測できます。つまり「より少ない人数で」「多くの人にサービスを提供」ってことになると、どうしたって省力化は避けられない。

 完全な無人店舗っていったって商品補充の手間はあるし、俺は自販機的な店舗って方向性にはわりと否定的です。というのは、人間は年とればとるほど、人間を求めるようになるんだろうなあというのが、長年大量の人間を見てきた俺の素朴な結論だからです。それもおそらくは生身の人間。俺自身は自分のこうした想像が否定されることを望んでるんですが、人が人と会ってしゃべりたいって欲望はかなり絶望的に根深いものだと思っています。年寄りにとって「直接に会って話す」って生存報告なんですよ。たぶんそこってインターネットにもどうにもできない部分だと思う。

 というわけで、俺の妄想としては、可能な限り品数を絞って、雑用を減らした店舗で、人間がカウンターに座ってて、客が来て世間話をしつつ、商品は勝手に自動で精算される、というような未来です。

 

 あーそうそう、もうひとつ、現状のコンビニのシステムではこれ以上の省力化は厳しいなあと思うのは、店を維持するためにはある程度の売上が必要で、ある程度の売上があると、一人ではかならず処理しきれない部分が出てくるからです。カスタマーサービスといわれるものを全廃すればどうにかなるんですけど。また、省力化のために設備を整えれば整えるほど、今度はチェーン本部の負担が増します。そうすると店舗側での利益の割合を下げざるを得ません。なので、省力化のための設備投資っつったって、なにか天地がひっくり返るような革命ってたぶん難しいんじゃないかと思います。現状でもよほどうまいことやらないと生活できるだけの利益って出せないですから。

 ってなことを考えると、もうフランチャイズってシステムじたいがどうなんだろうって話になるんですけど、それはまあ別の話ってことで。

 なおこの文章で書いた「アマゾン」は別に「ヨドバシ」でもなんでもかまいません。現状の通販業者の代表ってことでアマゾンにしただけです。