善意という暴力

 例の自殺防止のポスターなんですが、このポスターが表現していることは、圧倒的な多数派である「常識」が与えてくれる善意そのものだと思います。つまり、自殺したい当事者にとってこれは「おまえはまちがっている」という最後通牒であります。
 このポスターの実に性質が悪いところは、なまじ「人は一人では生きていけない」というのが絶望的な事実だからです。精神的にどうこうではなくて、人間はわりと狭い場所にたくさんいるので、関係が発生することは不可避だからです。そこから全面的に撤退しようと思えばそれこそ死ぬしかない。そしてこのポスターはそうした撤退したい人々にこう言うわけです。

「戻ってこい」

 これは、たとえば同性愛者の人たちに「正常になれ」というのとよく似た構図だと思います。あるいは、かつての黒人差別における「黒人も人間として認めてあげよう」というのとも似てると思います。早い話が常識や正義の側に属すると思っている人たちによるマウントです。同調圧力というよりも、もっと強い。なにしろこれはメッセージですから。

 これが10年前とかだったら、見るに耐えないような罵詈雑言で満ちたエントリを書くだろうというくらい、俺はいまちょっと腹が立っています。

 

 俺が文章を書く理由というのはいろいろあると思うんです。

 そのうちのひとつとして、確実にこれは言えるんじゃないかと思います。

 

 おまえたちのようなものを皆殺しにするために、俺は書いてきた。